2022年06月21日

動物園を盛り上げろ!「グッズを考える人」アドベンチャーワールド 山地聡さんと話してみた

「動物園・水族館で働く人」といえば、多くの人が思い描くのが飼育員さんなのではないでしょうか?しかし、飼育員さん以外にも、来場者さんと動物たちとの距離を縮めるために奔走する人たちがいます。
今回、アドベンチャーワールドのパーク運営マネージャーであり、Terravieオリジナルグッズの企画開発にも関わっておられる山地(さんじ)さんにお話を聞いてみました!

山地聡

Profile和歌山県出身。大学で上京し、その後飲食店での接客など様々なサービス業を経験する。実家へ帰ることとなった際、アドベンチャーワールドに縁があって就職し、21年目を迎えた。現在は同社のパーク運営マネージャーを担当しつつ、同時にTerravieのネットショップで並ぶオリジナルグッズの企画開発にも携わるなど、多岐にわたって活躍中。

接客好きを活かして、アドベンチャーワールドへ就職!

ーー「さんじ」さんって、珍しいですね。

はい、これまで名前を正しく読まれたことがないですね(笑)
和歌山県出身ですが、多分和歌山でも珍しい名前です。アドベンチャーワールドへ就職したのも、実家が和歌山だったというのが主な理由です。

ーー東京の大学へ行かれていたとのことですが、動物に関して勉強されてきたのですか?

私の学部は経営学部でした。
その…これを言うのもアレなんですけど…動物好きだからアドベンチャーワールドに入社したっていうのは、実は…ちょっと期待にお応えできず申し訳ないんですが、違うんです。
動物は好きなのは好きなんですが、文系なもので、動物飼育とか動物福祉など理系の分野はそんなに詳しくなくて。

ーーそれもまた、珍しい(笑)動物園といえば飼育員さんのイメージが強いですが、たしかにショップやイベントなど企画を担当する方も必要ですもんね。

アドベンチャーワールドでは、どんな方でも「総合職」として採用するので、意外かもしれませんが、動物の勉強をしている人ばかりがいるわけではないんですよ。
私は園内のお土産などの物販や、レストランなどの飲食店の経営に関することを入社以来ずっと担当してきています。もともと、学生時代のアルバイトで飲食店の接客がすごく好きだったんですね。なので、すごく自分にはフィットした仕事だと思っています。

現在は、マネージャーとして社員教育に携わらせていただくと同時に、園のグッズ開発経験を活かして、オンラインプラットフォーム「Terravie」のオリジナルグッズ企画開発に関わらせていただいています。

アドベンチャーワールドで最初の大きな仕事は「パン工房の立ち上げ!?」だった

ーー物販でのご経験をかなり積まれてきたご様子ですね。

入社当初は園内レストランなんかで接客をしてきました。ですが、ある日突然上司に呼ばれ、「新しい施設を建てるから、ちょっとお前パン学んで来てくれ」って言うんですよ。

今は実際に「パン工房」としてある場所なんですが、当時は建物も建つ前に「焼きたてのパンを提供する」というコンセプトのもと、すぐに神戸までパンを学びに行きました(笑)

ーーなかなかインパクトのある出来事!神戸でパン修行とは本格的ですね。

自動車の免許合宿のようなイメージに近いのですが、朝から晩までパンを焼いて学ぶ、超集中の短期合宿です。

パンを学んだほか、素人なりに図面を見ながら厨房の什器やオーブンの配置を決めるなどもできて、中途採用とはいえ、入社したての私が「パン工房」の立ち上げに終始関わることができたのは今も本当に大きな経験です。

ーー色々と挑戦させてくれたんですね。とても充実していた印象です。

そうですね、そういったチャンスをもらえたのは、運が良いですよね。それに自分はやっぱり販売に関わる仕事が楽しいのだと気づきました。
思い出せばかなり無茶苦茶だったなって思うし、今やれと言われたらできないけど(笑)
新しいものを作るということの難しさや面白さを学ばせていただきました。これは今の私を作っているベースとなった経験です。

これだからグッズ企画は楽しい!

ーーパン工房を立ち上げた経験が、今でも活かされるのはどんな時ですか?

ゼロから考えて、完成までかたちづくる、そういう一連の流れを知ることができたので、今もプロジェクトに取り掛かる際に全体的に役立っています。
大変っちゃ大変ですし、しんどいことも本当に多いんですけど、何て言うのかな…やっぱり面白いんですよね。達成感があって。

ーーその達成感は癖になっちゃうやつですね。

そうですね(笑)
アドベンチャーワールドではお土産の商品開発に携わらせてもらっていました。夏は季節柄Tシャツを買われるお客様が多いのですが、仕事帰りに立ち寄ったコンビニで、私が開発を担当していたTシャツを着た方が大勢いらっしゃったんですね。
別のときには大阪の梅田で、自分が関わった帽子をかぶっている方も見かけました。
そんな場面に出会うと、やっぱり嬉しいですよね。やっていてよかったなぁ…としみじみ思う瞬間です。

ーーきっと商品開発に関わる方ならではの、やりがいですね。

そうですね。ただ、一時期は“自分がやってみたいもの”を作るんだ!というような考え方をしたこともありました。今思えばそれは少し失敗だったなと思います。
「お客様の求めているもの」「園全体としてのコンセプトや雰囲気」「シーズンに合わせた企画」といったことを、トータルで考えていかないといけないのだなと教わりました。
難しいのですが、これは常に頭に置いていますね。

「それって、本当に持続的なの?」にこだわる

ーー商品開発をするうえで苦労されるのは、そのような“トータルで考えること”の難しさなのでしょうか?

動物園や水族館のお土産コーナーのグッズは、OEMで作られている場合も多いので、物によってはどうしても似てしまう傾向があります。
そうなったときに、「アドベンチャーワールドらしさって何?」というところの壁が立ちはだかります。
商品が何を目指しているのだろうか、ただ売れればそれで良いわけでもないよね、というようなところで、最適解を見つけていくのは難しいところです。

ーーアドベンチャーワールドだから買えた♪という喜びを大切にしたいですよね。

なるべく避けたいなという思いはずっとありますが、以前までは「展開パターンをたくさん作ろう」という考えもありました。それでもここ4、5年で、アドベンチャーワールドでの認識が随分と変わってきたように思います。
買ったとき良さそうだと思ったものが、自宅に持ち帰ってみると、普段使うイメージがあまり湧かなくて使われなくなる、というものなんかも結構あるのではないかなと思います。

ーーあります。「何でこれ買ったんや」って思う時(笑)開発の際に意識されていることはどんなことですか?

長野県軽井沢町にある5年先まで予約が取れないレストラン「LA CASA DI Tetsuo Ota」の太田哲雄シェフという方がいらっしゃいます。ご自身の「自然との共存」というテーマに対して何事にも徹底した考えを持たれている方です。例えば、5〜6時間かけて山菜採りに自ら行くとか、調味料やチーズに至るまで自分で作るとか。

個人的にすごいな!と思ったのは、犬が肉を噛む様子をずっと観察して、噛んだ切れ端から「この切り方だったら肉が美味しくなるんじゃないか」と研究を重ねておられるらしいんですね。「あの歯型が一番肉が美味しく、噛み切れる」というようなことを言っているのをメディアで拝見しました。

ーー「徹底」のイメージを超えてきますね(笑)

商品開発においてお客様のニーズはもちろん大切なのですが、このような徹底の姿勢を持ってバランスを取っていくことは、今後のアイディアにヒントとなり得るのではないかと考えています。特にTerravieなんかで。

ーーTerravieではどのようなコンセプトが軸となるのでしょうか?

Terravieは、「動物園・水族館をきっかけに人と生き物が出会い、つながり、Smileが循環する世界を目指すオンラインプラットフォーム」というコンセプトで、「循環」をテーマとしています。特に動物の「種」にフォーカスする点は特徴的ですね。それぞれの種の可愛さや勇ましさ、かっこよさなどを伝えることで、読者も、発信者も、Terravieに関わる人全体で動物に対する意識を高めていければと思っています。

ーー循環…まさに「SDGs」ですね。見過ごせないテーマになりました。

SDGsの観点で言うと、商品自体や商品梱包がエコかどうかはもちろんなのですが、例えば、お店に並ぶまでの過程で、配送業者さんが大変な思いをされていたり、原料を準備するメーカーさんや現地の方々に至るまで、どこかで誰かが苦しい思いをするのは違うと思っています。

Terravie独自の話で言えば、動物の「種」にこだわることも大切だと考えます。
例えばパンダ。パンダの中でも特定の個体が愛称もついて国民のアイドル的存在になるといった例がよく見られますよね。その子専用のグッズなんかも作られていて。
そのように個体にスポットを当て目立たせるというよりは、「種」を取り上げることで、様々な個体差を含め「パンダ」という種全体のかわいさに気づいてもらいたいと考えています。

(注)『種として注目する=個体差を無視する』という意味ではなく、『個体差があることも、その種の特徴として捉え直す』という意味合いから、Terravieでは種にフォーカスしたいと考えています。

ーー一時的なトレンドを追いかけた商品化だと持続可能性がありませんね。

そうですね。Terravieで掲げる「循環」「繋がる」といったコンセプトは、全国の動物園・水族館を繋いでいくことでもあるので、特定の園の特定の動物ではなくて、動物全体の中の「種」にフォーカスしていかないといけないなと。こうしたコンセプトにこだわりを持っていけたらと思っています!

様々な立場の人との意見交換でアイディアを生み出したい

ーー最後に、山地さんが考える今後の目標をお願いします!

今はアドベンチャーワールドの仕事だけでなく、Terravieの立ち上げに関わっているのですが、既にたくさんの学びを得ています。
Terravieを通じて、これまできっかけがなかった飼育担当の方々と話せる機会も多くなりました。動物園の全体をより細かく把握できるようになった点は、とてもありがたいですね。
このような経験自体が自分の財産になると思っていますので、アドベンチャーワールドの仕事にも活かしていきたいなと考えています。

ーー同じ動物園内と言えども、業務が違っていれば関わる機会がないのですね。

飼育されている方の視点・考えを聞くことで、商品やサービスに活かせていけるのは間違いないんですよね。また、Terravieのチームでは動物園にはない職業の方々とも関わるので、一段と視野が広まります。
先日も商品のアイディア会議をチームで行いましたが、僕らが考えつかないようなアイディアが色々と出てきたので、様々な立場の人が関わるってすごいことなんだと感じました。
Terravieに関わらず、多種多様な方との意見交換はしていきたいですね。

ーー山地さん、ありがとうございました!飼育だけではない動物園との関わり方や、出身学部は問わないことを知り、ぐっと身近な印象になりました。

WRITER PROFILE

Miyauchi Megumi うっちー

フリーランスとして活動するデザイナー&ライター。
無類の動物好き。動物アテレコをすると世界が優しくなるはずだと考え、SNSで発信している。将来の目標は、犬と並んで縁側に座りコーヒーを飲む毎日を送ること。